愛・地球博 
black butterfly off meeting report
■イントロダクション
 車検がとうに過ぎてたんですよ。たしか車検シールの裏に書いてある有効期限が昭和65年だったはずだから、平成2年から車検切れだったんですね。でもね、その『昭和65年』と書かれた軽くサイファイ感あふれるシールを剥がす事が出来なくてね。結局車検には出さずにそのままにしてたんです。もちろん自己流ではありますけど定期的にメンテナンスはしてたんですけどね、やっぱりその、なんていうか、自己流なだけに感じる不安があったりしてね、動力機関とかに不調がみられるときにそれが年式からくる自然なものなのか故障しているのかがわからないときが多々あって、やっぱり安心して暮らすためには車検にだそうかな、いや、昭和シールは2度と発行されないぞ、とか葛藤がありまして、それならばいちど遠出をしたりなんかして、このままいけるのか、あるいは車検にださなければいけないのか試してみようかなんて思いましてね、ナビに目的地を名古屋と入力して自分の額に張られた車検シールを念じるように撫でてみたわけです。
■名古屋到着までのいきさつとか
明治39年11月 南満州鉄道株式会社設立される。
昭和20年 8月 同社、敗戦により消滅。
昭和62年 4月 日本国有鉄道、分割民営化される。
平成17年 3月 『black buttefly』HP上でオフ会の告知。
10plus運営委員会において同会への参加について審議。
賛成1・反対0・棄権0の多数決により参加を表明。
また、代表参加者にミヤコが選出される。
同年     4月 村上さんのエイプリルフールの書き込みを真に受けて中止だと思い込み、オフ会用に残していた金で洗濯機を買う。
全自動乾燥機能付。翌日、事実に気づき呆然とする。
同年     5月 金山駅周辺のホテルを苦労して確保する。
■出発
6月4日 
 10時30分のフライトに備えて9時に飛行場に到着する。デキる男感丸出しの時間の余らせ具合、飛行場フェチの鏡。(*飛行場フェチ=飛行場でトランシーバー片手に緒川たまきと、かくれんぼライクに「フフフ、見つけてごらんなさい」とか通信しあい、BGMがピチカートファイブという妄想で絶頂を迎える人 たちの蔑称。)早く来た理由のひとつには村上さんへのお土産を買うというものがあるのだが、出発前から木彫りの熊かニポポ人形と決めてあり、時間が余るだろうからコーヒーを飲みながら妄想していようと完璧なスケジューリングで、これまたデキる男感満点具合なのだが、なかなかいい具合の木彫りグッズが見つからず、且つ、旨そうな菓子なんかも目に入り、大いに迷う。初心を忘れ、何を買ったらいいのか分らなくなっていた僕の視界に血に染まった牛柄の紙袋が飛び込んできた。ああ、そうか、三越のブースがあったな、「三越のある国、ありがとうジャポン。」をスローガンに三越へ。なかなかいい具合の木彫りがあり、さすが三越だなと細目がちになっていたのだが、その細目をこじ開けるような悲しいオーラを放つコーナーがあった。「いいんです、買ってくれなくたって全然結構です。僕ら次の棚卸しで廃棄処分みたいなんです。店員同士の会話が聞こえちゃいました。アハハ。そりゃね、初めて耳にしたときは皆で大泣きしまして、なんとか、こう、買ってくれとかわいさをアピールし続けたんですけどね、疲れちゃいましてね、皆でもう一度泣いてたんですが、誰かが水の杯で乾杯しようや、パーッと散ろうや、と言ったので空元気を出して乾杯したらなんか覚悟が決まっちゃいましてね。それに僕らもともと廃材生まれだし、今、ここにいられること自体がおまけみたいなもので、その、むしろ、ここであなたと話をできただけでも神様に感謝しなくてはいけないかな、なんて。あ、最近、僕ら、聖書なんか読み始めまして、死刑囚が…」「皆までいうなマイフレンド!(涙目で)」といういきさつがあってお土産はこれに決定。            
村上さんすみません。
勝手に画像使わせていただきました。
■〜名古屋空港到着
 お土産を入手した飛行場マニアは思う存分飛行場を満喫し、小粋な足取りで搭乗ゲートのブザーを鳴らし(慣れっこ)、「何か金属身に着けてますか?」「たぶんベルトのバックルです。」「ベルト外してください」「いやです。」「では金属探知機で調べさせていただきます。」「どうぞ。」なんて大人のエスプリあふれる会話を繰り広げた後、ニヒルな表情をつくり、浮かれているのを悟られないように喫煙し、飛行機に搭乗。席に着くなり客室乗務員に毛布を所望→即寝(離陸が怖いから)→異常な寝汗→りんごジュースを注文→渡されるとすぐに飲み干し虚ろな目で通販雑誌を読む→着陸といったおよそかっこいいとされているコンボを涼しげにこなす。飛行機から降りるとそこはもうセントレア。
誰も皆行きたがるがはるかに遠い空港。自ずとテンションはいざなぎ景気ライク。しかしそれを悟られないようにニヒルな表情を作り、案内窓口嬢に金山への行き方を尋ねる。ふと案内嬢の顔を見るとローリー寺西にそっくりだったのだが、それはそれ、大人なので「昔、中古車雑誌でピンクのロードスターに乗ってるあなたの写真を見て、なんかものすごく”憐れ”という言葉の意味が分ったような気がしました。でも、僕、あなたのことを決して嫌いではないです。がんばってください。」とか言いたいのをぐっとこらえる。
 ほどなく電車乗り場に到着した僕はミューチケットとかいうものを買い、なんか見るからに特別に作りましたって感じの列車に乗るのですが、あまりにも周りの人が列車を写真に収めるので負けじとカメラ(でかい。邪魔。旅行中に何度も捨てようかとさえ思った一眼レフカメラ。愛称”山と渓谷”)を出して鉄道小僧気分で写した。(帰宅後、うっかり消しちゃったからその画像は残っていない。というかすべての画像がない。)
 乗車中に数度村上さんから電話があったのだが、列車連結部に運転席からの景色を映す変なモニターがあって『電車でGO』気分で見入っていたため気づかず。
■金山
 金山駅で軽く迷いながらホテルに向かっている頃合にもう一度村上さんから電話。しかし、何を思ったか高校の先輩で昔の取引先の村上という男だと思い、休みの日に電話してくるなというオーラを発しながら受け応えしているうちに村上違いだということに気づき、ひどく居たたまれない気分になる。で、集合場所の喫茶店を教えていただき、その場所に向かうと、直前で信号待ち。目を皿にして喫茶店を探る。一度会ったことがあるからわかるはずだろうと、主にオープンテラスを重点的にスキャンしたのだがそれらしい人はいない。やっぱり店内でに入って探すかと思っていると、対面で信号待ちをしていると思われる3人組から生暖かい視線があったので、ぼんやり近づいていくとなんとなく見覚えのある村上さん・DUCAさんと謎の人だった。すっかり店内だと思っていたのに外にいたし、なんか初対面の人がいきなりいるし、心の準備ができておらずストレート待ちのチェンジアップ感覚でなんとかバットの先に当てたような感じの挨拶をした記憶がある。ほどなくその謎の人はナヲコさんだと分るのだが、何度か会っていていい感じにこなれた3人の会話のリズムやひしひしと伝わる気遣いに、親戚の法事で知らない人に囲まれちゃった感というか、うっかり小学生時代に他界してしまった友達の両親とエレベーターで鉢合わせてしまった17歳の夏休みという感じになってしまい、心の中ではチェンジアップやスローカーブを多用した軟投気味の組み立てにバットは空を切りまくり、懲りた僕はバットを短くもちかえ、当たり障りの無い振る舞いをしながらも、いざとなったらダッシュで帰ろうと決意する。